9月23日は、福田進一ギターリサイタルin福岡です。
バッハのことばかり言ってきましたが、
「野平一郎作曲:波の記憶」という九州初演の曲もあります。
以下は、今回の曲目解説からです。これを読んで、
一層福岡公演に行きたい気分になってください!
■野平一郎:波の記憶(2011年所沢ミューズ委嘱作品/福田進一に献呈)**
野平一郎氏は、1953年東京生まれ。私と同世代の日本を代表する作曲家であり、圧倒的な実力を誇るコンサート・ピアニストである。東京芸術大学大学院修士課程を経て、パリ国立高等音楽院を卒業。以来、リゲティ、ファーニホゥ、ドナトーニに師事、また現代音楽家集団イティネレールやIRCAMに於いて、電子音響音楽やコンピュータ音楽を学んだ。第35回サントリー音楽賞(2004)、第55回芸術選奨文部大臣賞(2005)など、受賞歴は数えきれない。私との出会いは、1978年にフランス政府給費留学生として留学された時、なんと同じ音楽学生寮に・・・そこから2人の交友が始まった。最初の独奏曲「アラベスクⅣ(1982)」以降、タンゴなどのポピュラー音楽のアレンジも含めて数々の作品を書いて下さった。近年では林望氏のテキストによる演劇的組歌曲「悲歌集(2006)」という40分を越えるギター室内オペラの大作も生まれ、再演が続いている。
今宵演奏する「波の記憶」は本年2月、所沢ミューズによって委嘱初演された最新のギター曲である。邦楽を思わせる冒頭の衝撃的な2つの音の生み出す波紋は時間軸にそって刻々と形を変え、様々な音のスペクトルを放射する。水面の波、その波に反射する光、水中の波の動き、渦、色々な情景を連想させながら波は進み、いつの間にか思いもよらない方向へ発展して行く。まずは、バッハとはまったく異次元のポリフォニーを理屈抜きに体験していただきたい。(解説:福田進一)