去る9月30、10月1日の両日、古楽器奏者として世界的に活躍されている今村泰典先生をお迎えしてマスタークラスを行いました。今村先生は現在スイス在住でストラスブール国立音楽院、フランクフルト音楽院で教鞭を取っておられます。今回の来日は今村先生の新しいバッハのCD(ナクソスレーベル)発表に伴う日本ツアーで来日されたものです。
当日は九州各地で教授活動をしている先生方やフォレストヒルアカデミーで学ぶ専門家志望の若者たちに貴重な内容のレッスンが展開されました。
フォレストヒルミュージックアカデミーの上野芽実先生もストラスブール音楽院在籍中に長く師事されていました。
上野先生から今回のマスタークラスに寄せて以下のメッセージをいただきました。
《今村先生のレッスンを終えての感想
今回2日間に渡る濃密なレッスンの中の一コマで、”音楽の感動とは何か”という問いが今村先生よりありました。なぜ感動し、美しいと感じるのか…。そこには何か理由があるはずで、奏者はそれを見つけ出し、自身がそれを伝えるという”意志”が必要である。作曲者の妙技、才能を消してしまわぬよう、私たち奏者は感度を十分に働かせ、また相応の知識を持って理解に努め、それらを表現する手段を模索する事。これはとても当たり前の事のようですが、それらにもっと真摯に向き合う事の大切さをもう一度認識させられる時間となりました。
また、今回受講者が一番多かったバッハ作品のそれぞれへの解釈は、一貫して和声法、通奏低音の観点からのアプローチが多く、それに伴い如何に色付けをし時間を操るかという課題が各受講生に見られたと思います。
個人的には、数年ぶりの今村先生のレッスンで、フランス留学時代の学校のレッスン室の風景などを思い出しながら、毎週この貴重なレッスンを受けられていたんだなぁ〜と一人タイムスリップして懐かしさを覚えていました。何よりも作品への解釈を奥深く進めることが出来、大変充実した時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!》
以下、受講生と受講曲目
1)竹内竜次/1組曲14番よりパッサカリア〜S.L.ヴァイス
2)四元祥平/ファンタジー〜S.L.ヴァイス/佐々木忠-編
3)藤木浩平/プレリュード、フーガ、アレグロBWV998よりプレリュード〜J.S.バッハ
4)大塚勇馬/プレリュード・フーガ・アレグロBWV998〜J.S.バッハ
5)上野芽実/フーガ イ短調 BWV1000 〜J.S.バッハ
6)中村友泉/プレリュード、フーガ、アレグロBWV998よりプレリュード〜J.S.バッハ
7)溝口伸一/リュート組曲 第4番BWV1006a〜J.S.バッハ
8)森田莉子/無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011プレリュード〜J.S.バッハ
受講生の皆さんと
(フランクフルト音楽院で今村先生に師事していた太田耕平さんも聴講に来てくれました。後列右)